割れ窓理論

概要

 環境犯罪学からきている理論。軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで、凶悪犯罪などを抑止すると言うもの。「割れ窓」の由来は、建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないということになり、やがて他の窓も壊されると言うもの。 アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングが考案。

腐ったリンゴと似ているが、腐ったリンゴは「それまで健全だったなかに一つでも腐ったものを入れると、全部腐るよ」と言うもの。割れ窓理論は「少しでも何かダメなことが発生したら、ちゃんと対応しないと全部ダメになるよ」と言うもの。

窓が割れてもすぐに対処

どんな理由にせよ、割れた窓を放置せずにちゃんと対応すると、良い状態が維持されることになる。あたりまえだけど・・・

何もしない場合

窓が割れた理由がなんにせよ、それを放置すると「誰も直さないんだ」「割ってもいいんだ」「注意されないんだ」となり、どんどん状況が悪化していく。

よくある身近な例

  • 放置されたゴミ・粗大ゴミ
  • 放置自転車
  • 放置自転車のカゴの中にあるゴミ
  • タバコのポイ捨て
  • らくがき

IT業界でのよくある割れ窓

期限の形骸化

プロジェクト・タスク・定型業務など、ほとんどのタスクに期限がきられるが、その期限を守らない状態に対して、PMなど然るべき役割の人間が何も言わないと、「期限」が形骸化する。
それまで期限を守っていたメンバーも、頑張って期限を守るのがアホらしくなり、チーム全体で守らなくなるというもの。

やらない・もみ消し

どんな組織・チームにも必ずいる、仕事をやらない・もしくはやるべき仕事をやらず、時間とともに仕事自体を風化させる人。
「あの人はねぇ」と周囲が文句を言っているうちはまだよく、そして、ちゃんと仕事をしている人がその人のカバー・フォローをすることはよくある話。このカバー・フォローが常態化および負荷が高くなってくると、不満がたまり、どこかで破綻。

ごまかし・言い訳

周りがどう考えていても、「ごまかし・言い訳」に聞こえるようなことも、それを聞いて最終判断する人が納得して通用してしまうと、それを真似する人が必ず現れる。
外部要因・体調不良はまだしも、他責・失念・考慮不足・時間が足りなかったなどが通用することがわかると、組織・チーム全体の文化となって定着。全員が必要最低限のオペレーションしかやらなくなる。